通関の依頼方法が分からず不安に感じていませんか?
本記事では、初めて通関を依頼する方でも理解できるように、通関の正しい依頼方法、必要書類、注意点を分かりやすく解説します。
特にEC事業を運営している場合、売上拡大に伴って輸入頻度が高まり、通関業者とのやり取りも増えていきます。
その中で、通関の仕組みや自社の責任範囲を十分に理解しないまま依頼を続けていると、思わぬトラブルやコスト増につながることもあります。
この記事では、Amazonや楽天などへも出店している輸入EC事業者を想定し、通関業者への正しい依頼方法と実務上のノウハウを分かりやすく解説します。
この記事を読むことで、以下の点が理解できます。

通関業者に依頼する前に、以下のポイントを確認しましょう。
✅ インボイスとパッキングリストの内容は一致している
✅ 商品の用途・材質・構造を説明できる資料がある
✅ HSコードについて通関業者と事前に共有している
✅ EC販売(Amazon・楽天など)の貨物であることを伝えている
✅ プラットフォーム名/コードを申告データに含める準備ができている
✅ 通関業者に依頼するタイミングを把握している
上記のチェック項目を先に整理するだけで、通関依頼時の不安を大幅に減らし、通関業者とのやり取りをスムーズに進めることができます。
通関業者へ依頼する方法として、事前に必要な情報や書類を正確に揃えておくことが重要です。
情報が不足していたり、内容に不整合があると、通関手続きが滞ったり、追加確認や修正対応が発生する原因になります。
特にEC事業者の場合、
輸入量や件数が増えるにつれて、通関依頼時に求められる情報も増えていくため、
「何を準備すべきか」
を整理しておくことが欠かせません。
ここでは、通関依頼の方法ろして、準備しておきたい主な情報と書類を整理します。
まず、通関業者に伝えるべき基本情報として、以下のような項目があります。
これらの情報は、通関業者が申告内容を組み立てるための前提となります。そのため、できるだけ具体的かつ正確に伝えることが重要です。
次に、通関依頼時に提出・共有することが多い書類です。
これらの書類は、単に揃っていればよいのではなく、書類同士の内容が整合していることが非常に重要です。
輸入貿易における「売買契約」(Sale and Purchase Agreement)の重要性
インボイスとパッキングリストは、通関手続きの基礎となる最も重要な書類です。
輸入申告に用いるインボイスには、品名、数量、価格、取引条件などが記載されます。そしてこれらは、申告価格や関税額の算定に直接影響します。
インボイスの具体的な記載方法や注意点については、別記事で詳しく解説しています。
また、パッキングリストは、貨物の数量や重量、梱包内容を確認するための書類です。
インボイスとの内容に差異があると、通関時の照会や追加調査につながることがあります。
パッキングリストの作成方法や確認ポイントについても、別記事をご参照ください。
国際貿易を支えるインボイスの重要性と通関での役割を徹底解説
パッキングリストの基本と役割:国際貿易に必須の貨物管理書類を解説
EC事業者が輸入する、いわゆる通販貨物については、通関依頼時に特に注意すべき申告情報があります。
Amazonや楽天などを通じて販売される貨物については、2025年10月12日以降、通関申告時に以下の項目が求められるようになります。
参考情報
税関 輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて
JETRO 日本への貨物輸入、2025年10月12日から輸入申告項目が追加
これらの情報が申告データに含まれていない場合、税関が申告内容を審査できず、通関が保留されることがあります。
その結果、追加情報の提出や修正対応が必要となり、通関遅延や手続きの煩雑化につながる可能性があります。

そのため、EC事業者は、インボイスに価格や数量を記載するだけでなく、Amazonや楽天などの、
どの ECプラットフォームを通じて販売された貨物なのか?
という情報を、あらかじめ整理したうえで通関業者に伝えることが重要です。
通関依頼時に必要な情報を事前に共有しておくことで、通関業者とのやり取りがスムーズになります。
それが結果的に、不要な通関遅延やトラブルを防ぐことにつながります。
補足:関連情報
EC貨物のインボイス作成時の注意点や、パッキングリストの不備によるトラブル事例については、以下の記事もあわせて参考にしてください。
パッキングリストの基本と役割:国際貿易に必須の貨物管理書類を解説
初めての貿易に必要な準備とは?関税・リアルタイム口座・JASTPROコードをわかりやすく解説
通関依頼において、多くのEC事業者が誤解しやすいポイントの一つが、
「HSコードは誰が決めるのか」
という点です。
通関業者に依頼していると、
「HSコードも含めてすべて業者が判断してくれる」
と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。
HSコードは、輸入される貨物の内容に基づいて分類されるものです。そして、その正確性は、適正申告の重要な要素の一つです。
通関業者は、提出された情報や書類をもとに、輸入申告でHSコードを申告(多くは通関業者が代理作成)します。
しかしながら、その前提となる商品情報を提供するのは輸入者(EC事業者)側です。
つまり、HSコードの選定においても、輸入者には一定の責任があると考える必要があります。
商品情報が不十分なまま通関業者に依頼すると、実態と異なるHSコードが選定されてしまう可能性があります。
その結果、関税額の誤りや、税関からの指摘・修正申告につながるケースも少なくありません。
HSコードの誤分類は、適正申告ができていないと判断される原因の一つです。
通関依頼時には、HSコードを「完全に業者任せ」にするのではなく、以下の点を意識することが重要です。
これらの情報があることで、通関業者もより適切なHSコード選定を行いやすくなります。
輸入通関に必要なHSコードとは?仕組み・調べ方・実務対応を徹底解説
HSコードの選定は、単なる分類作業ではなく、適正申告を実現するための重要なプロセスです。
適正申告の考え方や、申告ミスがもたらす影響については、別記事で詳しく解説しています。
また、HSコードの基礎知識や調べ方についても、以下の記事を参考にすると理解が深まります。
【Amazon輸入で差をつける】RCEPを活用して関税ゼロに!コスト削減・注意点・実務対応を徹底解説

通関依頼に関するトラブルの多くは、専門知識が不足していること自体よりも、
「依頼時の情報共有や認識のズレ」
から発生します。
ここでは、EC事業者が通関依頼の場面で陥りやすい代表的な失敗と、その背景、対策について整理します。
「書類は一式渡しているから問題ないだろう」
と考え、商品情報や補足説明をほとんど伝えずに依頼してしまうケースです。
商品用途や材質、販売形態などの情報が不足していると、通関業者は限られた情報の中で判断せざるを得ません。
結果として、確認作業が増えたり、誤った申告につながる可能性があります。
対策
通関依頼時には、書類に記載されていない補足情報も含めて、事前にまとめて共有することが重要です。
通関業者に依頼する前に、インボイスやパッキングリストの内容を、十分に確認していないケースもよく見られます。
数量や重量、品名の不一致があると、通関時の照会や追加確認が発生し、通関が遅れる原因になることがあります。
対策
依頼前に、インボイスとパッキングリストの内容が一致しているかを
必ず確認する習慣をつけることが大切です。
HSコードについて十分な情報提供をせず、
「業者が決めてくれるもの」
と考えて依頼してしまうケースです。
その結果、商品実態と異なるHSコードが選定され、後日、修正申告や税関からの指摘につながることがあります。
対策
HSコードについては、商品情報を正確に伝えてください。そのうえで、判断に迷う点は事前に、税関や通関業者と相談する姿勢が重要です。
通関業者に依頼していることで、すべての責任も業者側にあると誤解してしまうケースもあります。
しかし、申告内容の正確性や書類内容については、輸入者側にも責任がある点を理解しておく必要があります。
対策
通関業者と
「どこまでが業者の役割で、どこからが自社の責任か」
を、事前にすり合わせておくことで、認識のズレを防ぐことができます。
通関依頼におけるトラブルを防ぐためには、以下の点を意識することが有効です。
これらを意識することで、通関業務はより安定し、不要なトラブルを避けやすくなります。

このマトリクスは、情報準備と依頼タイミングの組み合わせで、通関依頼時のリスクを整理したものです。早めに情報を準備し、早めに依頼することが、トラブル回避の基本です。
通関依頼は、単に書類を通関業者へ渡す作業ではなく、適正通関を実現するための重要なプロセスです。
特にEC事業者の場合、輸入量や取引件数の増加に伴い、通関業務が事業全体に与える影響も大きくなっていきます。
そのため、「これまで問題なかったから大丈夫」という感覚ではなく、通関依頼方法そのものを見直すことが重要になります。
適正通関を実現するためには、通関業者にすべてを任せきりにするのではなく、自社として最低限の理解と関与を持つことが大切です。
具体的には、
といった点を意識する必要があります。
通関業者は、単なる手続き代行者ではなく、適正な申告を実現するためのパートナーと捉えることが重要です。
必要な情報を正確に共有し、判断に迷う点を事前に相談できる関係を築くことで、通関業務はより安定し、トラブルの発生も抑えやすくなります。
ここまで見てきた通関依頼の方法や注意点は、すべて「適正申告」を前提としたものです。
申告内容の正確性や責任の考え方については、別記事で詳しく解説していますので、あわせて確認しておくことで理解がより深まります。
輸入貿易における適正申告と通関手続き:ビジネスを成功させるための実践ガイド
通関依頼の方法を見直すことは、通関トラブルを防ぐだけでなく、通関業務全体の効率化やコスト管理にもつながります。
輸入量が増えてきた今こそ、自社の通関依頼の方法が適切かどうかを一度整理してください。そして、必要に応じて通関業者との関係や通関依頼方法を見直してみてはいかがでしょうか。
Q1:通関依頼はいつ、どのタイミングで行えばよいですか?
A:
通関依頼は、輸入貨物の到着予定が分かった段階で、できるだけ早めに行うのが基本です。
インボイスやパッキングリストなどの必要書類が揃い次第、事前に通関業者へ共有しておくことで、通関手続きをスムーズに進めやすくなります。
依頼が遅れると、到着後に確認事項が発生し、通関遅延につながることがあります。
Q2:通関依頼時に、EC事業者が必ず準備すべき書類は何ですか?
A:
通関依頼時には、インボイスとパッキングリストが必須となります。
これに加えて、船荷証券(B/L)や航空運送状(AWB)、必要に応じて商品資料、契約書などを準備します。
EC事業者の場合は、どのECプラットフォームを通じて販売された貨物かといった情報も、通関業者に正確に伝えることが重要です。
Q3:HSコードは誰が決めるのですか?
A:
HSコード(税番)は、輸入申告の際に申告者(輸入者)側が申告します。
実務上は、通関業者が輸入者の代理として申告書類を作成し、HSコードを記載することが一般的です。
ただし、最終的にHSコードを審査し、判断するのは輸入国の税関です。
商品の用途・材質などの情報が不十分だと、税関照会や分類変更につながる可能性があります。
そのため、HSコードは「完全に通関業者任せ」にするのではなく、輸入者側も商品情報を整理して共有し、必要に応じて税関の「 事前教示(品目分類)制度 」の活用も検討すると安心です。
また、税関に対してメール等で照会を行うことも、HSコードを確認する手段の一つです。