輸入通関における適正申告は、関税や消費税を正しく納付するだけでなく、
税関調査や追徴課税といったリスクを回避するために、欠かせない重要な実務です。
一方で、インボイスの記載ミスや課税価格の誤りなど、意図せず申告ミスが発生してしまうケースも、少なくありません。
本記事では、「輸入通関 適正申告」の基本から、
申告ミスが起こりやすいポイント、修正申告の対応方法、税関調査への備え、
そして実務で役立つチェックリストまでを、実務担当者の視点で分かりやすく解説します。
修正申告と税額計算の実務(ミス発見 → 手続き → 延滞税対策)

適正申告とは、「 輸入品に関する正確な情報を税関に報告すること 」を意味します。
これには、商品の品名、数量、単価、原産国、関税分類(HSコード)などが含まれます。
仮に、正しい申告を行わないと、税関からペナルティや追加税が課されることがあります。
HSコードの誤分類は、関税額の誤りにつながります。それによって、適正申告ができていないと判断される原因になります。
HSコードの基本的な考え方や調べ方については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事: 輸入通関におけるHSコードの基礎知識
税関の公式定義
公式サイトでは、適正申告は輸入者の法的な義務です。
そこには、違反すれば処罰の対象になることが明記されています。
[参考サイト:税関公式ページ]
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1101_jr.htm
適正申告が求められる理由は、大きく分けて以下の3点です。
スムーズな通関手続き
適正な申告を行うことで、税関での審査が迅速に進み、輸入品の通関がスムーズになります。
特に、時間が重要な要素となる輸入貿易では、通関の遅延は大きなリスクとなり得ます。
余計なコストの削減
不正確な申告により、追徴課税や延滞税が発生することがあります。
つまり、適正な申告を行えば、これらの余計なコストを防ぎ、ビジネスコストの管理がしやすくなります。
税関との信頼関係の構築
日常的に正確な申告を行うことで、税関との信頼関係が築かれます。
このことにより、信頼される輸入者として認識されれば、将来の手続きがより円滑に進む可能性が高まります。
インボイス(仕入書)は、輸出者が発行し、輸入者が税関に提出する書類です。
このインボイスには、商品名、数量、単価、総価格、原産国、取引条件(FOB、CIFなど)が記載されています。そして、税関が輸入品に対する税金を算出する基礎資料となります。
インボイスに含まれる主な情報
適正申告を行うためには、インボイスに記載される品名、価格、取引条件などの情報が正確であることが前提となります。
インボイスの具体的な記載方法や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
貿易実務の担当者は、インボイスの正確性を確認する必要があります。
特に、以下の3つのポイントに注目しましょう。
1. 商品名、数量、単価
商品が正しく記載されているか、数量や単価が注文書や契約書と一致しているかを確認することが重要です。これが不正確だと、税関手続きが遅れる原因となります。
2. 取引条件(FOB、CIFなど)
取引条件は、輸送費や保険料が適切に計算されているかどうかに影響します。そこで、インボイス上に、取引条件が正確に記載されているかを必ず確認しましょう。
3.原産国情報
商品の原産国が正確に記載されているかを確認することは、関税優遇措置を受けるためにも重要です。原産地証明書との一致も確認することが推奨されます。
書類の管理は、輸入業務において必須のタスクです。特に、インボイスや契約書、パッキングリスト、船荷証券(B/L)などの輸入関連書類は、一定期間保存しなければなりません。
書類保存義務
関税法では、輸入者には最低「 7年間 」の書類保存義務が課されています。
書類の不備や紛失は、税関の事後調査においてトラブルを引き起こす可能性があります。
大量の書類を紙の書類として保存しておく事は大変です。
そこで、保存方法として、電子データ等での保存も認められています。
参考サイト:[税関の書類保存義務に関するページ]
https://www.customs.go.jp/shiryo/chobo.htm

事後調査とは、輸入品が通関された後に、税関が輸入者に対して行う調査のことです。
税関は、輸入者が適正な申告を行ったかどうかを確認します。
そのため、輸入者が保存している書類をチェックします。
仮に、税関から事後調査を受けた際に、保存書類が不備であれば、追加の税金やペナルティが科される可能性があります。
1. 電子保存の活用
紙の書類を管理するよりも、電子保存システムを活用することで、書類の紛失を防ぎ、必要な際にすぐに提出できる体制を整えることが重要です。
その際には、税関の承認を得て、電子保存の規定に従うことが推奨されます。
2. 定期的なチェック
定期的に書類を確認し、保存期間や内容に不備がないか確認します。こうすることで、事後調査に対して常に万全の備えを整えます。
3. 税関とのコミュニケーション
事後調査の通知を受けた場合は、税関との連絡を円滑に行い、適切な対応を行うことが大切です。書類提出の期限を守り、信頼を失わないように対応しましょう。
4.1 税額計算の重要性
輸入品に対する関税や消費税は、商品価格(CIF価格など)を基に計算されます。
つまり、輸入者は、正確に価格を申告し、税額計算を行う義務があります。
仮に、価格が不正確であると、追徴税や延滞税のリスクが生じます。
CIF価格の計算方法
CIF価格とは、商品価格に輸送費や保険料を加えた総額です。
つまり、このCIF価格の金額が、税額計算の基準となります。
4.2 修正申告とは?
修正申告とは、誤って申告した内容を後から訂正するための手続きです。
早めに修正申告を行えば、ペナルティを回避できる場合があります。
1. 誤りの発見
申告後に、税額や商品分類に誤りがあることが分かった場合は、速やかに修正申告を行います。
2. 修正申告書の提出
修正申告書を税関に提出し、正しい情報を申告します。
追加の税金が発生する場合は、速やかに納付しましょう。
3. 追加税の支払い
修正申告によって新たに発生した追加の税金は、税関から通知を受け次第、速やかに支払いましょう。万が一遅延すると、延滞税が発生するため注意が必要です。
輸入品に対する関税や消費税は、商品価格(CIF価格など)を基に計算されます。
輸入者は、正確に価格を申告し、税額計算を行う義務があります。
価格が不正確であると、追徴税や延滞税のリスクが生じます。
CIF価格とは、商品価格に輸送費や保険料を加えた総額です。
この金額が、税額計算の基準となります。
修正申告とは、誤って申告した内容を後から訂正するための手続きです。
早めに修正申告を行えば、ペナルティを回避できる場合があります。
1. 誤りの発見
申告後に、税額や商品分類に誤りがあることが分かった場合は、速やかに修正申告を行います。
2. 修正申告書の提出
修正申告書を税関に提出し、正しい情報を申告します。
万一、追加の税金が発生する場合は、速やかに納付しましょう。
3. 追加税の支払い
修正申告によって新たに発生した追加の税金は、税関から通知を受け次第、速やかに支払いましょう。仮に、納付が遅延すると、延滞税が発生するため注意が必要です。
4. 延滞税や加算税のリスク回避
自主的に早期に修正申告を行うと、延滞税や加算税が減免される可能性があります。
税関から調査通知を受けた後に修正申告を行う場合、これらのペナルティが避けられなくなるため、早めの対応が推奨されます。

適正申告や通関手続きを正確に行うためには、日常の業務の中で具体的な対策を継続的に実施することが重要です。
ここでは、輸入貿易担当者が日々実践すべきポイントをいくつか紹介します。
インボイスの確認は輸入手続きの中で最も重要な作業の一つです。
まずは、受け取ったインボイスの内容を逐一確認し、誤りがないかをチェックします。
そうすることで、通関手続きでの遅延やトラブルを未然に防ぐことができます。
特に、以下の点に注目してチェックを行いましょう。
商品名、数量、単価の確認
契約書や注文書とインボイスの内容を照らし合わせ、記載に誤りがないか確認します。
そのとき、ミスがあれば、輸出者にすぐに修正を依頼しましょう。
取引条件の再確認 CIFやFOBなどの取引条件が正しく反映されているか、必ず確認します。
これは、輸送費や保険料が適切に計算されているかを確認するための重要な作業です。
関税率や規制は国内外の経済状況に応じて頻繁に変更されます。
そのため、「 最新の関税情報 」を常にチェックすることが重要です。
例えば、新たな自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)が締結された場合、原産国によっては優遇措置を受けられる可能性があります。
特に、中国との貿易取引においては、RCEPの優遇措置が適用されると、関税率の低減効果が期待できます。
公式税関サイトの確認 関税率や規制の最新情報は、税関の公式サイトや関連する貿易機関のホームページで確認することができます。
つまり、最新情報に基づき、申告内容を適時に更新することで、適正な関税計算が可能になります。
輸入貿易の業務は複雑で、特に税額計算や修正申告などの手続きには専門的な知識が必要です。
そのため、通関士などの専門的な知識を持つ方と密に連携し、専門家のアドバイスを受けながら適切な手続きを進めることが、長期的なビジネス成功の鍵となります。
通関業者の利用
通関業者やフォワーダーは、輸入手続きに精通しています。
そのため、その協力を得る事で、適正申告や書類管理の効率化に大きな貢献が期待できます。
つまり、専門家の力を借りることで、手続きの不備を回避し、効率的に輸入業務を進めることができます。
A:
申告ミスが判明した場合は、できるだけ早く税関または通関業者に相談し、修正申告を行うことが重要です。
自主的な修正申告であれば、延滞税や加算税が軽減されるケースもあります。
放置すると税関調査や追徴課税につながる可能性があります。
そのため、早期対応がリスク回避の鍵となります。
A:
必ずしもペナルティが発生するわけではありません。
申告者自らが誤りに気付き、速やかに修正申告を行った場合、過少申告加算税が課されない、または軽減される可能性があります。
一方、税関調査で指摘を受けた後の修正は、ペナルティ対象になりやすいため注意が必要です。
A:
税関調査の対象になりやすいのは、次のようなケースです。
これらは適正申告が行われていないと判断されやすいポイントです。
A:
金額や数量、品名など課税に影響する項目に誤りがある場合は修正申告が必要です。
一方、課税額に影響しない軽微な誤記については、通関業者や税関へ相談することで修正不要と判断される場合もあります。
判断に迷う場合は、自己判断せず専門家に確認することをおすすめします。
A:
はい。税関は、過去の輸入取引について事後調査を行うことがあります。
そのため、インボイスや契約書などの貿易書類は、法令で定められた期間、適切に保存しておく必要があります。
過去の申告内容に不安がある場合は、事前の確認が重要です。
A:
適正申告を継続するためには、次のような体制づくりが有効です。
日常的な管理体制が、税関調査やトラブルの予防につながります。
適正申告とは、輸入通関において申告内容を正確かつ誠実に税関へ申告することを指します。
適正な輸入申告と通関手続きは、ビジネスの円滑な運営を支える基盤です。
そこで、輸入担当者は、インボイスの正確性を確認し、書類の管理を徹底し、税額計算を適切に行うことが求められます。
また、税関との信頼関係を築き、修正申告を早期に行うことで、追徴税やペナルティのリスクを最小限に抑えることができます。
輸入業務は非常に複雑であり、日々の実践が重要です。
この記事で紹介した具体的な対策を実践しながら、ビジネスの信頼性と効率を向上させ、貿易におけるリスクを最小限に抑えるための準備を進めていきましょう。
適正申告を実現するためには、通関業者への依頼方法や情報の伝え方も重要になります。
輸入通関の申告内容の正確性だけでなく、各書類の役割や通関業務全体を理解しておくことが重要です。それにより、適正な輸入通関を行えます。
あわせて、以下の記事も参考にしてください。
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公開:2024年12月2日|最終更新:2026年2月3日