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輸入貿易における「売買契約」(Sale and Purchase Agreement)の重要性

1. 日本の商習慣と国際取引の違い

2. 売買契約(Sale and Purchase Agreement)で決めること

3. インコタームズ(Incoterms)の詳細

4. 輸入貿易で使用される他の契約書に類する名称

5. まとめ

1. 日本の商習慣と国際取引の違い

日本の商習慣

信頼関係を重視する取引文化が、日本国内では根付いています。多くの場合、取引条件は口頭での合意やメールなどのやり取りで進められます。そして、具体的な契約書を作らないケースも少なくありません。特に、長年の取引関係がある企業同士では、詳細な書面を省略することが一般的です。

さらに、日本の商習慣では、トラブルが起きた際に「双方で話し合い、円満に解決する」という柔軟な対応が重視されます。このような背景により、契約内容が明文化されていないことがあっても問題視されない場合があります。

国際取引の特徴

一方、国際取引では状況が大きく異なります。なぜなら、国や地域によって法律、文化、商慣習が全く異なるからです。そのため、誤解やトラブルを未然に防ぐために、詳細な契約書を作成することが必須となります。

例えば、アメリカやヨーロッパでは、契約書が法律上の最重要書類とみなされます。口頭の約束はほとんど認められず、契約書に明記されていない内容は「存在しない」と扱われることが一般的です。また、トラブルが発生した場合、裁判や仲裁を通じて解決する文化があるため、契約書はその際の「証拠」として機能します。

文化の違いが生むリスク

日本流の「信頼ベース」のやり取りを国際取引に持ち込むと、大きなリスクを伴います。例えば、口頭で「この商品は1週間後に発送する」と約束しても、相手国ではその約束が守られない可能性があります。また、トラブルが発生した際に、証拠がないため不利な立場に追い込まれることもあります。

したがって、輸入貿易においては、契約書を作成し、取引条件を明確にすることが極めて重要です。

契約交渉

2. 売買契約(Sale and Purchase Agreement)で決めること

(1) 取引の当事者(Parties to the Agreement)

売主(Seller)と買主(Buyer)

まず、取引に関わる当事者の正式な名称、住所、連絡先を明記します。これは、契約の主体を明確にするためです。

製造者(Manufacturer) 売主が製造者ではない場合(例えば、卸売業者が売主の場合)、製造者の情報を契約書に記載することがあります。製造者の情報は、品質保証やクレーム対応の際に役立ちます。

(2) 商品の詳細(Description of Goods)

商品についての具体的な情報を記載します。これにより、どのような商品が取引の対象となるのかが明確になります。

品名(Name of Goods)

取引対象の商品の正式名称を記載します。型番やブランド名があれば、それも含めます。

数量(Quantity)

取引する商品の数量を正確に記載します。単位(例:個、キログラム、トン)を明確にすることが重要です。

品質基準(Quality Standards)

商品の品質について具体的な基準を設定します。例えば、ISO基準や特定の業界標準が該当します。

(3) 価格と支払い条件(Price and Payment Terms)

価格(Price) 商品の単価や総額を記載します。また、どの通貨で支払うのか(例:米ドル、ユーロ)を明示します。

支払い方法(Payment Method)

支払い方法として、以下が一般的です。

 ・前払い(Advance Payment)

 ・信用状(Letter of Credit, L/C)

 ・銀行送金(Bank Transfer, T/T)

(4) 引渡し条件(Delivery Terms)

引渡し条件には以下の内容を含めます。

引渡し時期と場所(Time and Place of Delivery)

商品を「いつ」「どこで」引き渡すかを明確にします。

輸送手段(Mode of Transport)

船、飛行機、トラックなど、使用する輸送方法を指定します。

(5) 梱包とラベル表示(Packing and Labeling)

梱包方法(Packing)

商品が輸送中に破損しないよう、具体的な梱包方法を記載します。

ラベル表示(Labeling)

商品や梱包箱に記載すべき情報(例:製品名、製造国、注意書き)を明記します。

3. インコタームズ(Incoterms)の詳細

インコタームズは、売主と買主の間で責任と費用負担を分けるための国際ルールです。

以下は、代表的な条件です。

FOB(Free on Board)

売主は、商品を指定された船に積むまでの費用とリスクを負担します。

CIF(Cost, Insurance, and Freight)

売主が、商品を目的地の港まで運ぶ費用と保険料を負担します。

EXW(Ex Works)

売主は、指定された場所(通常は工場や倉庫)で商品を引き渡します。それ以降の費用とリスクは買主が負担します。

4. 輸入貿易で使用される他の契約書に類する名称

輸入貿易では、「売買契約」(Sale and Purchase Agreement)以外にも、取引条件を記録・確認するための文書がいくつかあります。それぞれの文書には、役割や目的が異なります。以下に主な名称を挙げ、その内容と違いを説明します。

(1) Purchase Contract(購入契約書)

Purchase Contractは、Sale and Purchase Agreement(売買契約書)の別名として使われることもあります。この契約書は、売主と買主が合意した取引条件を正式に記録した文書です。

通常、以下の項目が含まれます。

 ・取引当事者の詳細(売主・買主)

 ・商品の仕様、数量、価格

 ・支払条件、引渡し条件

 ・紛争解決方法

特徴

売主と買主の双方が署名することで正式な契約となります。

長期的な取引や高額な取引において、より詳細な内容を記載します。

(2) Purchase Order(購入注文書)

Purchase Order(PO)は、買主が売主に対して商品を発注する際に発行する注文書です。この文書は契約書ではなく、発注の意思を伝えるものですが、多くの場合、契約の一部とみなされます。

主に以下の項目が記載されます。

 ・商品の詳細(品名、数量、価格)

 ・納期

 ・支払条件

 ・配送先

特徴

買主から売主への依頼として発行される。

契約書より簡易な内容で、売主の承諾を得ることで契約の効力を持つことが一般的です。

違い

Purchase Contractは正式な契約書ですが、Purchase Orderは買主の一方的な指示文書である場合が多いです。

(3) Contract Sheet(契約書(または、契約概要書))

Contract Sheetは、取引内容を簡潔にまとめた文書です。契約書の中でも内容がシンプルで、取引の基本情報だけを記載します。

具体的には以下の項目が含まれることが一般的です。

 ・売主と買主の情報

 ・商品の基本情報(品名、数量、価格)

 ・納期と引渡し条件

特徴

内容は簡素で、長文の契約書を避けたい場合に利用されます。

口頭合意やメールでのやり取りを補完する役割を果たします。

違い

Sale and Purchase Agreementと比べて簡易で、法的拘束力が弱い場合があります。

(4) Proforma Invoice(仮請求書、見積書)

Proforma Invoice(仮請求書、見積書)は、買主が取引条件を確認するための仮の請求書です。これは、売買契約を補足する文書であり、正式な契約書ではありません。

以下のような項目が記載されます。

 ・商品の詳細(品名、数量、価格)

 ・引渡し条件(インコタームズ)

 ・支払条件

 ・納期

特徴:

実際の請求書ではなく、見積書としての役割を果たします。

特に輸入取引で信用状(L/C)の発行準備などに使用されます。

違い:

Proforma Invoiceは、見積もりとしての性格が強く、法的な契約ではありません。

日本への輸入時において、通関申告ではProforma Invoiceを用いず、Commercial Invoiceを適用します。

これらの文書の使い分け

これらの文書は、用途や取引の段階によって使い分けられます。

1.初期段階(契約前の見積もりや確認):

Proforma InvoiceやContract Sheetが用いられる。

取引条件の確認や信用状(L/C)の発行準備に使われる。

2.契約成立時:

Sale and Purchase AgreementまたはPurchase Contractが締結される。

正式な取引条件を記録し、双方が署名する。

3.発注時:

Purchase Orderが発行され、具体的な数量や納期が指示される。

5.まとめ

重要、ポイント

これらのポイントを押さえれば、輸入取引における契約の基本が理解できます!

(1) 輸入貿易では「契約書」がとても重要
国際取引では、法律や文化が異なるため、条件を明確に記載した契約書が必要です。

(2) 国際取引日本の商習慣と違う点
日本では、口頭の約束やメールで済ませることがありますが、国際取引では契約書が必須です。

(3) 代表的な契約書の種類

売買契約(Sale and Purchase Agreement):
商品や価格、引渡し条件などを明記した正式な契約書。

購入注文書(Purchase Order):
買主が売主に商品を注文する際に使う文書。

契約概要書(Contract Sheet):
取引内容を簡単にまとめた簡易的な書類。

仮請求書(Proforma Invoice):
商品の見積もりとしての役割を持つ仮の請求書。

使い分けが大切
取引の段階に応じて適切な文書を選び、条件をしっかり確認しましょう。

契約書の目的
誤解を防ぎ、トラブルが起きたときの証拠として役立ちます。

このように、輸入取引では、契約書をしっかり作ることで安心して取引ができるようになります。これから貿易を学ぶ方は、まず「売買契約」で何を決めるのかを理解することから始めてみましょう!