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商社で働く!アパレル貿易と通関の現場のリアル 3

トピック1 貿易事務 問題対処法

トピック2 SKU、納品数のチェック

トピック3 通関、納品依頼

アパレル貿易用語

貿易事務、SKU

トピック1 貿易事務 問題対処法

前回ご紹介の通り、貿易事務の仕事は、

1.船積書類等を入手し通関依頼

2.納品先倉庫へ納品SHIPPERへ支払いをする

という、文字にするとすごくシンプルなものです。

ですが、

・書類を入手するとき

・商品を納品するとき

・提携先へ業務を依頼するとき

・社内の関係部署へ手続きを進めるとき

現実は、様々な確認事項に問題がいくつも発生しています。前回に続いて、今回はそのお話をさせていただきます。

トピック2 SKU 納品数のチェック

船積がはじまり、受注した数量通りSKU別での確認が必要です。このSKU別の確認作業は、とても大切なプロセスです。

SKUとは?

Stock Keeping Unitの頭文字3つを合わせた略語が、SKUです。

アパレル業界において、SKUは在庫を管理する時の最小単位です。

アパレル商品は、色、サイズ、柄、デザインなどで、商品数や種類が多く、同じ商品の中でも商品が細分化されています。

SKUは、アパレル業界だけでなく、他の業界でも使用する単位です。

例えば文房具もSKUを用いて在庫を管理します。ボールペンは1本、箱に入っていれば1箱ですが、同じボールペンでも、色や太さが違う事があります。バリエーションや種類の豊富さにおいては、アパレルより文房具業界の方が、多種多様ともいわれています。

アローアンスにまつわるエピソード

アパレル業界の生産現場において、アローアンス(allowance)は、±3~5%で設定されていることが殆どですが、まれに±0%の場合も。

例えば合計4,000枚の発注でも、

赤M/ 1000枚±3%

赤L/ 1000枚±3%、、、

とSKU単位でアローアンスのチェックをします。

±3%の場合

OK : 合計102.9%まで

NG : 103%以上

1枚増えるとオーバーしてしまいます。

+3%といっても3%までOKか、それとも、3%未満までOKか、、、

意外と盲点でした。

これはお客様によっても許容範囲が違うので、契約書を発行する際に確認し、クリアにしておくと後々安心です。

予想外!SKUの大問題

そして、アローアンス3%の概念を覆す大きな出来事が一つ。

(色、数量は仮ですが、、)

赤、青、黄、黒 の4色 合計4,000枚(1,000枚/色)の発注の場合、

普通に考えて、一般的に考えて、

各色1,000枚+3%で、計1,030枚/色 MAXで納品できる計算に。

INVOICEに記載された TOTAL 4,120枚。

一見問題なし。

PACKING LISTに記載された

赤 2,000枚

青 1,030枚

黄 1,030枚

黒    60枚

ん?

もう、大問題です。

大至急工場へ確認すると、総合計で3%以内だから問題ないの一点張り。

確かに工場へアローアンス±3%では伝えてはいたが、こちらもわざわざアローアンスはSKUごとに管理する必要があるとは注意しておらず。

思いもよらないことが起こるのが海外取引。

そうだよね、説明してなかったよね、普通SKUごとで管理するよね、、、、

って、普通だと思っていることが普通ではない、世界は広いのだ。

日本では普通(また言ってしまった)、一般的にベーシックな色の発注数が多い傾向があります。つまりは、赤など差し色で使うようなものは、ベーシックな黒などに比べ発注数量が少ない傾向にあります。

よりによって、赤を多く出荷するなんて、せめて黒を多くしてくれよ。。。

急ぎ不足分を生産してもらい、次のSHIPに乗せなんとか納品。

言ったかもしれないけど、

わかっていると思うけど、

何度も確認すること

小さなこと、このような些細な事でも、すべてクリアにすること。

いろんなところに布石を打って置き、問題が発生しないように心がけるきっかけになったエピソードの一つです。

Container、輸入通関

トピック3 通関、納品依頼

通関依頼

商品を輸入するために、輸入者である商社が、通関業者さんへ通関依頼をします。

当時勤めていた商社は、、社内システムでIV.amount(インボイス価格)、数量、船名、BL No.、納品日、納品場所などを入力すると、それを元に通関業者さんが通関、ドレ―の手配をします。

急ぎで納品だったので、最短での納品依頼していたのに船が遅れて間に合わない、別日で納品日再調整したけど、ドレ―が見つからない、、、、

結果、予定通りに納品できない、、、、

そんなことが多く発生していました。

特に台風の時期、長期休みや連休の前後は 各社ドレ―の取り合い、なかなか確定しない倉庫側での受け入れ日。早くドレ―を抑えないと、でもいつ受け入れできるか倉庫側の調整がまだ決まらない板挟み。

普段は住んでいる地域の天気しか気にしていなかったけど、急ぎの出荷が近いときはベトナム近辺の天気も気にしたり、果てはその前の航路の天気を調べ船に遅延が出ないかチェックしたり、世界の天気をみながら船に遅れがでないよう祈る日もありました。

通関問題対処法

ここでも一役買ったのが工場、フォワーダーとの3者とで管理を始めたBOOKING情報一覧リストです。

納品側に必要な情報だけを抜き取り、おおまかな納品予定を事前に共有することにしました。

BOOKING情報一覧リストの抜粋

商品SKU一覧リスト

この納品計画をもとにドレ―と納品スペースの仮おさえをしておき、納品日2日前に最終確定というルールを設定しました。

もし船に遅延発生し納品日をずらす場合も次に予定しているドレ―を使ったり調整がしやすくなりました。

無事に納品が終わり、入庫報告書を入手したらひとまず完了です。

ドレ―の手配についてはドライバー不足の深刻化、輸送料金の高騰、港の混雑など様々な要因があり年々手配が厳しくなっている印象があります。

特に20GPコンテナに関しては10年以上も前から、ドレ―を抑えられない状況が続いていました。

AI化が進む世の中ですが、物理的な革命的システムが開発されない限り配送の問題は劇的に改善することは難しいでしょう。

ドライバーの働き方改革だけを改善するのではなく、この商品は本当に今必要な納期なのか、この急ぎの対応は本当にしなければいけないのか? 社会全体で意識改革が必要だなと感じています。

納品時はコンテナの水漏れ、入庫差異などさまざまな問題は発生するのですが、、、それはまた別の機会に。

アパレル貿易用語

用語説明補足
Arrival Notice輸入貨物の到着を通知するために発行される書類A/N
フリータイムコンテナを無料で保管できる期間FT
BOOKING船会社等に船のスペースの予約を行うこと 
EXF工場出荷日の意味でつかわれることが多い 
ETD本船出港予定日
Estimated Time of Departureの略
 
ETA船入港予定日
Estimated Time of Arrivalの略
 
CUT貨物搬入締切日
(輸出通関も完了している状態)
FCL⇒CY CUT
LCL⇒CFS CUT
SHIPPER輸出者 
フォワーダー貨物輸送の手配を行う事業者 FORWARDER 
原産地証明貨物の国籍を証明する書類 (Certificate of Origin)CO、COO
FORM AJ日アセアン協定の原産地証明書 
DRAFT下書きの状態を指すことが多い例)BL Draft⇒正式発行前のBL
SKUアイテムー色―サイズの分類Stock Keeping Unit
アローアンス許容範囲 Allowance