こんにちは。
筆者は、2006年より商社で繊維製品の輸出入業務及び生産管理として業務に携わってきました。
中国/上海、南通近郊、ベトナム/ホーチミン近郊の工場を担当していました。
そこでは、中国、ベトナムからの輸入、ベトナム向けの輸出(三国間貿易)を主に行っておりました。
貿易事務を話題にした「 商社で働く!アパレル貿易と通関の現場のリアル 3 」では、主に国内への輸入に伴う書類業務を紹介いたしました。
今回は、海外向けの貿易実務について紹介させていただきます。

海外に出荷する際も基本的には、日本に輸入する流れと同じものとなります。
日本に輸入する際はフォワーダーとは、日本語でのやりとりしていました。一方で、海外向けとなると、海外各国の現地フォワーダーとやりとりとなります。そのため、英語でのコミュニケーションが基本です。
筆者は、入社時は英語の文章は読めてなんとなく理解はできました。ただし、殆ど英語が喋れない状態でした。もちろんビジネス英語なんて始めて聞く言い回しや単語ばかり。
中国の工場の担当者は日本語も話せる方が多く、言葉に不自由したことはありませんでした。
ですが、ベトナムなど東南アジアの工場になると、日本語が話せない率がぐっと上がります。
そんな中、ベトナム工場の担当になり、日本語が使えない状況に。。。
それでも、英語ができないのでそこは上司がなんとか対策してくれるだろうと高を括っていました。
なんとかなるだろうと、、どうにかしてくれるだろうと。。。
上司のとった方法、郷に入っては郷に従え、突如として英語だけの世界へ投げ出す方法でした。
伝えなければいけないことあります!⇒とりあえずメールで連絡いれといて(英語で)
急ぎ確認あり! ⇒ とりあえずメールで連絡しといて(英語で)
この進捗どうなってますか? ⇒ とりあえず工場に確認いれて(英語で)
こちらも状況を止めてはいけないと必死なので、翻訳機能を使いながら英語でメールを作成する日々。 何もやらない 忙しい上司の対応を待つより、とにかく自分で確認できるところは進めていく、どうしても伝わらない、助けが必要になったら上司の出番。
という風に、業務を進めていきました。
こんな日々を過ごすうちに、いつの間にか英語にも慣れてきました。今では、貿易実務での読み書きで困ることは殆どなくなりました。
慣れてしまえば。そして、貿易に必要な用語と何が必要かを伝える単語を覚えていれば、コミュニケーションできるようになっていきました。
日々読み書き、YouTubeで英語聞き流しをしてみたり、英語研修と称して海外旅行に行ってみたり、、、!
英語に関わらず、外国語への距離感はぐっと身近なものになりました。
仕向け地によっては、英語を母国語としていないところもあります。
特に、東南アジアの独特な発音はなかなか慣れず、聞き取りも非常に大変でした。
緊急案件で急ぎで何か伝えたがっているけど、、、
焦りすぎて何を話しているのかわからずなんてことも。
いくら読み書きの勉強をしても、実際にメールや会話をする相手が使う英語や言語に慣れないとうまくコミュニケーションがとれません。そんな時には、世間話など仕事とは少し違う話をして距離を縮めてみたり。
意外とこの方法が一番効果的たったかもしれません。
海外との取引は、日本語間では起こらないコミュニケーションエラーが起きやすくなります。
小さな努力かもしれませんが、
挨拶は、現地の言語(中国語なら 你好! ベトナム語なら Xin chao!などなど)を使ったり、相手との距離も近づくようにしていくと、文面だけの関係以上となりました。
お互いに母国語ではないなかで不明点があれば歩み寄り、
など、ただ伝えるだけではなく別の角度から伝えることができるようになったと思います。
英語での表現で便利でよく使ったなぁと思うものをいくつか紹介いたします。
If you have any further questions, please feel free to contact me.
(さらに質問あればお気軽に御連絡ください)
Could you look into this matter and get back to us immediately?
(この問題を調査して至急折り返し連絡してください)
Thank you for your patience.
(もうしばらくお待ちいただければ幸いです)
この3文はよく文末に付け加えていました。

コミュニケーションツールと言えば、日本ではほぼLINEでのメッセージや通話がほとんどです。しかし、国によってLINEのようなアプリがそれぞれ存在します。
世界的にも利用者数が多い中国を代表するアプリといえば、WECHAT(微信)です。
中国の工場とは、WECHATでグループを作りやりとりをします。そのWECHAT、チャット上に翻訳機能がついています。
そのため、中国語でメッセージを送信、日本語で返信でも、お互いが翻訳すればやりとりが可能になります。
細かいニュアンスは翻訳しきれていないかもしれません。それでも、基本的なやりとりに困ることはありません。
文面でのやりとりの他には、ボイスメッセージで送りあう方法もあります。
中国ではボイスメッセージが主流なのか、やたらボイスメッセージを使います。
もしかしたら、電車の中や歩きながら、来日している観光客がスマホにむかって何か話かけている中国人を見かけた方も多くいらっしゃると思います。これはボイスメッセージを送っているところかもしれません。
(返信もボイスメッセージで電車の中でも大音量で流れていることもたまにみかけますね、、、)
メッセージ、通話の他、支払い、SNSのような投稿、ニュース検索、おすすめ動画の表示などあります。
ニュースなどは、中国語での表示なので中国語の勉強をしている方、中国が好きな方などにもよいかもしれません。
WECHATのメッセージは、LINEのように既読表示ができません。そのために、相手がメッセージをみたかどうか確認はできません。
これはデメリットであり、場合によってはメリットと言えるかもですが。。。
ベトナムになると、ZAROというアプリが主流となります。
基本的な機能はLINEやWECHATと同じです。しかしながら、今のところ言語設定はベトナム語か英語のみとなります。
WECHAT同様、メッセージ上で翻訳機能がついています。そのため、英語、ベトナム語、日本語、どの言語で送信しても、翻訳機能を使い、多言語でメッセージのやり取りは可能になります。
ZAROは、最後にいつアプリを開いたか、メッセージは既読になったかどうかの表示があります。
返事がなくても、とりあえずみたかどうか確認できるのでその面では使いやすいです。
どのアプリもPCからログインし使用できます。そのため、一昔前のように
スマホでやりとり ⇒ PC資料作成 ⇒ スマホに転送 ⇒ スマホからチャットアプリで送信
などと、迂回せずとも、PC上だけで簡単にできるようになりました。
このように主流なアプリが各国で異なる場合、
この人とはZAROで、
あの工場とはWECHATで、
この取引先とはLINEで、、
はたまた社内では社内アプリでのチャット、、、
となり、この内容はどこで連絡したっけ、、?と混乱することも、、、
さらに会社によっては、セキュリティの問題でLINE、WECHAT、ZAROなどのアプリのPCでの使用は禁止されていることもあるかと思います。
当時いた会社もPCでのアプリ使用は禁止だったので、探したい情報はPCメールで探し、スマホを探し、スマホの画面コピーをPCに転送し、、、
なんて本末転倒、まわりくどいやり方をしたりすることもありました。
スピーディーにやりとりでき、写真やデータなどもサクッと送れます。
そのため、メッセージアプリでのやりとりがビジネスでも主流となっています。
しかしながら、やはり重要なことはチャットでやりとりした後でも、メールで残しておくと安心だなぁと感じています。
アプリ内だと、画像やデータも一定期間すぎると削除されて見れなくなる場合もありますからね、、、
チャットだけに頼らず、メッセージを送ったあとでも、【先ほどチャットで御連絡しました件ですが、、】と必ずメールに残しておくようにしています。

海外取引となると各国の規則などそれぞれ異なるため、この国ではこの書類が提出必須、
この内容で記載が必要、、などなどそれぞれの国によって対応することになります。
法規制も日々変わっていきます。そのため、今まではOKだったものがNGになったり、国際貿易に関する法規制の情報を日々UPDATEしていくことも重要です。
商社で働いていると、専門の部署が新しい法規制に対する研修を行ったり、大手SPAですと各仕入先向けに講習会を開いたり勉強する機会はたくさんありました。
自ら情報を得るために、カケン(一般財団法人カケンテストセンター)さんが品質に関する法規制の講習会を行っていたり、JETROに相談などをして情報を得ることもできます。
法規制とはちょっと異なるかもしれませんが、
2022年ロシアのウクライナ侵攻によりロシアに出店していたブランドは次々と休業、または撤退をすることに。
筆者が担当していたブランドも急に撤退が決まりました。そのため、ロシアに到着する予定だった貨物もコンテナで出荷されたまま海の上でSTOP状態。。。。
他国に振り替えるのか、SHIP BACKするのか?
一度はロシア向けに輸出申請したものをどう振り替えられるのか、担当している誰もが大慌てでした。
製品だけでなく、対処すべき事は多々ありました。
各国により薬剤規制などもありました。
例えば、この薬剤(たとえば抗菌防臭材など)を使用した製品については、A国では輸入できるがB国では輸入できない。
ということもあります。
幸い、ロシア向けで生産していた商品はロシアの毒性指数試験に抵触しないよう薬剤等は一切使用していませんでした。
生地の発注段階から薬剤の使用、不使用をわけて発注管理をしていました。
生産も必ず薬剤の使用有、使用無で分けて生産していました。そのため、他国へ振り替えた場合もどの国でも輸入可能な商品でした。
結局、無事に他の国向けへのオーダーへと振替し、出荷することができました。
筆者は中国(上海)、ベトナム(ホーチミン)にて生産した商品を、日本向けとその他海外向けに輸出しておりました。
発注をもらう段階でお客様との納期を決めます。そこでは、輸送リードタイムが長い国を基準に発注はいつまでにもらわないといけないか?を計算していました。
輸送LT(Lead Time)が長くなればなるほど遅延発生しやすくなります。その結果、●月△日までに納品(倉庫着)としていた契約が、守れなくなることが多くなりました。
通常、天候不良や事故等 不可抗力による遅延などは、原則として再度納期再設定します。その上で、新しい納期をターゲットに生産、出荷など再計画しなおしますが、
元の納期をKEEPして欲しいお客様。。。
新しい納期決めたから、この納期で出荷したい工場。。。。
話し合いをしたあの時間は幻だったのかな。。。
2000年代当時、貿易契約上の納期に関して、多少の遅延であれば大きな問題にはなりませんでした。
それは、海外店舗が少なかったからです。しかしながら、2010年代以降は、徐々に様々な国での出店も多くなりました。そのため、恐らく同じような問題が各工場でも頻発するようになったようです。
海外向けの契約納期は、変化が起きました。納品日ベースではなく、最終出荷日「 ●月◯日ETD 」というような、出荷日ベースで指定されるようになりました。
仕向け地によっては船が週1便、 LCL(混載便)になるとさらに2週に1便でした。そのために、タイミングが合わないと、これまたなかなか厳しい納期になるので、要注意です。
時を同じくして、出荷だけでなく、品質や生産、その他のルール、規則も日本の基準からグローバル基準へと変化していったように感じます。
大まかにですが、参考までに中国、ベトナムから各地への船積リードタイムをご紹介いたします。
船で旅をしたらこの港につくまで何日間かかるのかぁ。。。。
1日目は船の中を散策して、、、
2日目は海をみながら日光浴、夜は星空を眺めながらお酒を飲んで、、
なんて、ぜひ、クルーズ船で世界旅行の妄想をお楽しみください。
と言っても、実際はコンテナ船ですが、、、、w


※1:
インド、インドネシアは通関処理に、約3日から7日程度かかることが一般的です。
他国よりも納品までに時間がかかります。
※2:
US向けでも西海岸、東海岸では距離が離れています。そのため、同じ国でも倍近く船足が変わります。
次回は、海外貿易をする繊維商社の新シリーズが始まります。
「 生産管理のプロが実践!貿易の現場で納期・品質を最適化するオペレーション 1 」
◇製作協力
株式会社JJコーポレーション 田中沙織さん
公開 2025年5月27日 | 最終更新 2026年1月19日