公開 2025.05.19 | 更新 2025.06.13
9.コンテナへの積載を計画する(Container Vanning Plan)
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コンテナ輸送の歴史や背景を理解したうえで、いざ実務に直面すると、次のような疑問や悩みが浮かぶはずです:
この「その2」では、実務で必要なコンテナの規格・用途・制限・注意点を、初心者にもわかりやすく解説していきます。
海上輸送で使われる主なコンテナには、以下の種類があります:
それぞれの用途に応じて適切な選択が求められます。
※各コンテナの仕様は国際標準規格(ISO TC104)に準拠しています。詳しくは日本規格協会をご参照ください。
代表的なサイズと容量は以下の通りです:
※上記の容積はすべて「理論値」であり、空気や液体で満たした場合の最大値です。
実際の貨物は段ボール(カートン)やパレットなどの梱包形態をとるため、形状の無駄や空間が生じます。
そのため、実際の積載容積(実効値)は理論値の80〜90%程度が目安となります。
20ftコンテナの方が40ftよりも短く構造的に頑丈であるため、自重を差し引いた可搬重量(Payload)が高く設定されています。一方、40ftは自重が増える分、積載可能重量はやや低くなります。
※道路輸送における重量制限や特車許可制度の詳細は、国土交通省「特殊車両通行許可制度」をご参照ください。
海上輸送では許容される重量でも、日本国内の陸上輸送では道路交通法による制限があります。
※輸送には「特殊車両通行許可」が必要な場合があります。
コンテナに商品を積載する前には、外観や内部の状態をしっかり確認する必要があります。これにより、輸送中のトラブル(雨漏り、破損、臭い移りなど)を未然に防ぐことができます。
実際の現場では、コンテナの内部に作業者が一度入り、仮にドアを閉めて暗くすることで、外部からの光漏れ(ピンホール)を目視で確認します。これは、壁面や天井に小さな穴が開いていないかを確かめる最も確実な方法のひとつです。必要に応じてもう一人が外側で待機し、安全確保にも配慮しましょう。
スマホカメラ(記録用)
積載が完了したら、最後にコンテナを封印(Seal)する工程が必要です。これは国際輸送において不正開封を防ぐ重要な手続きであり、税関や船会社も確認する項目です。
※ボルトシールや封印手続きは、世界税関機構(WCO)や日本通関業連合会のガイドラインに基づきます。
Packing List(パッキングリスト)を作成し、荷姿・個数・容積・重量などが決まった段階で、「コンテナにどの程度積載可能か?」を事前に試算する必要があります。これを業界では、バンニングプラン(Container Vanning Plan)と呼びます。この事を、日々の業務の中では、バンプラなどの略称を用いる事もあります。
実際の積載では、パレット積載や段積みの限界、偏荷重の防止なども考慮するため、コンテナの内容積を100%使い切ることはできません。
計算上の容積と、実務における積載効率には差があるため、通常は以下の目安で積載可能量を見積もります:
必要に応じて、シミュレーションソフトやVanningツールを使用することも推奨されます。
コンテナ輸送は非常に効率的な手段ですが、その利便性の裏には多くの実務的な注意点があります。その対策として、適切なコンテナ選び、正しい梱包、国内外での重量制限の理解、そしてトラブル防止策を講じることで、物流リスクを最小限に抑えることができます。
DIGISHIPでは、こうした実務課題に対応したサポートを提供しています。初めての方でも安心してご相談いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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