あなたがTシャツやスマートフォン、紅茶や冷凍食品などを海外から輸入したとしましょう。
そのとき、すべての品目には「HSコード」と呼ばれる数字の分類コードが割り当てられています。これは、関税や規制、書類処理において極めて重要な役割を果たします。この記事では、初心者の方やEC事業者、メーカー、貿易実務担当者に向けて、HSコードの基礎から実務での使い方、注意点までを体系的に解説します。
また、ただの数字の羅列ではないHSコードの歴史的背景や、近年の国際動向、実際の調べ方、税関との連携の仕方まで、DIGISHIPが提供する輸入サポートの観点からわかりやすくお伝えします。
通関業者の中では「HSコード」よりも「税番(ぜいばん)」という言い方をすることも多く、実務の現場ではこの呼び方が一般的です。
HSコード(Harmonized System Code)は、世界共通で使用される品目分類コードです。貿易に関わるすべての商品は、このコードによって分類されます。
桁数:6桁が国際共通、以降は各国独自の追加(日本は9桁または10桁) たとえば「チョコレート」はHSコード1806、「綿製Tシャツ」は6109.10.000となります。
HSコードの前身は、19世紀から20世紀にかけて各国が独自に整備していた関税表です。しかし、国際貿易の発展に伴い、国ごとの違いが貿易障壁になっていました。
1988年、WCOが中心となって「HS条約」に基づく統一制度が開始され、約200カ国以上で採用されています。
豆知識:なぜ国際標準が必要?
このように、HSコードは単なる関税の道具ではなく、FTA・EPAの原産地規則、輸出管理、安全保障、税務調査などにも関わる重要なインフラとなっています。
実際に輸入を行った際には、税関から発行される「輸入許可通知書」に、該当するHSコード(税番)、適用された関税率、そして課税された関税額が明記されます。これは、輸入品に対して正式に税関が分類・課税を行ったことを証明する公的な記録であり、輸入者としては内容を確認し、記録・管理しておくことが重要です。
関税率、消費税率、CIF課税の基準となる
食品衛生法、薬機法、動物検疫法など、対象品目がHSコードで定義されている
禁止・規制品目(例:ワシントン条約対象)も分類によって判断
原産地証明書(CO)
FTAやEPAによる無税取引の根拠
関税分類異議や通関トラブルの原因にもなりうる
HSコードは次のように階層的に構成されています:
※6桁までは国際共通ですが、7桁以降は国ごとに独自設定されています。
日本関税協会:https://www.zenkan.net/
税関 Tariff Schedule:https://www.customs.go.jp/
輸入者本人が税関へ直接問い合わせることで、より正確で迅速な回答が得られます。特に輸入コストの試算時には非常に有効です。
問い合わせフォーム:
一般質問:https://www.customs.go.jp/question2.htm
課税相談窓口:https://www.customs.go.jp/tokyo/zei/k_sodan1_1.htm
従来から、輸入貿易をしている担当者の方の中では、取引先の通関業者へHSコードを問い合わせしている事があります。民間企業の通関業者を通じて確認するより、最終的に判断する税関へ問い合わせして、その回答を得た方が確実です。
通常は、税関へ問い合わせをしてから、約1~3営業日で回答を得られます。
更に、電話による口伝での回答ではなく、書面による回答を依頼しておくと便利です。問い合わせ内容と、その回答を書面に残しておくことができるので、覚えておいてください。
商品の輸入を決める時には、輸入通関の前にHSコード、税率などを調べておくと安心です。
税関へ問い合わせする時
下記の情報を事前に揃えておくと、より正確な回答を得られるでしょう。
Q1:通関業者のHSコードと自分の調査結果が違いました。
A:税関の解釈や通関実績に基づく判断差があり得ます。事前教示を活用しましょう。
Q2:複数の分類候補がある商品は?
A:主用途・主成分に基づいて分類します。WCO通則に従う必要があります。
Q3:分類を間違えるとどうなりますか?
A:関税の追徴や通関保留、罰則のリスクがあります。
HSコードは単なる分類記号ではなく、通関・税務・戦略に関わる国際共通言語です。正確な分類が、コスト削減・トラブル回避につながります。
WCOは5年ごとにHSコードを見直しており、環境技術や医療製品、デジタル機器への分類対応が進んでいます。
例:
① ステンレスタンブラー
→ 正解:7323(家庭用金属容器)
② Bluetooth体重計
→ 正解:8423(計量機器)
③ LEDデスクライト
→ 用途・取り付け方法により9405など
① 関税過少申告で追徴課税
→ 数年分の追徴+延滞税
② 規制品誤認で通関保留
→ 医療機器の誤分類により違反扱い
税関が事前に分類・税率を回答(無料)
書面回答でエビデンスに
申請はオンラインで可能:https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kojisinsei/kojisinsei.htm
FTA適用による無税化
仕入国別の関税差を活用
高関税国向けの製品仕様変更
HSコードを税関サイトで確認
輸入予定品は事前に問い合わせ
DIGISHIPへ相談・分類サポート依頼