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商社で働く!アパレル貿易と通関の現場のリアル 1

こんにちは!
このシリーズでは、商社で働く貿易・通関事務や生産管理のリアルな日々をお届けします。
「どんな仕事をしているの?」「現場の苦労って?」そんな疑問に、経験をもとにお答えします。初めての方もぜひ読んでみてくださいね!

商社の貿易事務:貿易・通関書類と現場の舞台裏

はじめに:貿易事務と生産管理の基本とは?

商社での貿易事務や生産管理は、会社や部署によって役割が大きく異なります。本シリーズでは、書類の管理から現場のリアルな課題まで、貿易事務の仕事の実情を分かりやすく紹介していきます。

トピック1:貿易事務に必要な書類の重要性

貿易業務には契約書や船積書類、原産地証明など多くの書類が必要です。これらの書類がいかに重要で、いかに現場を動かしているか、その管理の実態について解説します。

トピック2:貿易事務の現実と直面する課題貿易事務の現場では、書類の不備や納期の遅れなど予期せぬ問題が日常茶飯事です。営業や工場との調整を通じて、どのように問題を解決しているのか、リアルな現場のエピソードを交えて紹介します

まとめ:貿易事務の仕事に必要なスキルと心得

貿易事務には、迅速な対応力や細かい確認作業が求められます。現場の体験から学んだことを基に、これから業務に挑む人へのアドバイスや心構えをまとめます。

貿易商社のミーティング

はじめに:貿易事務と生産管理の基本とは?

こんにちは。

筆者は、2006年より商社で繊維製品の輸出入業務及び生産管理として業務に携わってきました。その時に経験したことなど数回にわけて紹介させていただきます。貿易事務と一言で言っても会社や部署、もしくは営業担当により役割は大きく異なってきますあるある! こんなこともやってるんだ! これは役にたちそう!などお届けできればと思います。

トピック1:貿易事務に必要な書類の重要性

貿易ではたくさんの書類が必要となります。

契約書、船積書類、原産地証明、入庫報告書、、、これらはほんの代表的なものですが、このほかにも細々とした書類が都度発生します。特に契約書、船積み書類(INVOICE/PACKING LIST、BL)、原産地証明には毎度苦労して(苦しめられて?)きました。

契約書

契約書の内容は、発注数量、単価、納期、建値、決済方法などを担当営業がSHIPPERと決定し、その内容を事務が社内システムに入力し書面発行、それをSHIPPERへ送りサインバックをもらいます。同様に、工場社内での契約書を発行し商社のサインバックが必要となる場合もあるます。

契約書と言っても、作成者が商社(IMPORTER)か、工場(SHIPPER)によって書類の名前は変わります。

商社(輸入者)が作成する契約書はPurchase Contract SheetやPurchase Noteなど呼ばれています。P/OやC/Sなど略される場合もあります。工場(SHIPPER)が発行するものはSales Contractと呼ばれるものです。S/Cと略して表記することもあります。どちらが発行しても双方合意した条件のもと作成しているため、内容は同じものが記載されています。

通関書類のINVOICEPACKING LIST

船積が始まったら、INVOICEPACKING LIST、BLを入手。INVOICEとは、工場(SHIPPER)から送付する納品書兼代金請求書のことです。船積みされた 貨物の明細が記載されるとともに、代金の決済、輸出入申告などの処理にも使われます。海外へ荷物を送る際は必ずINVOICEを作成し貨物に送り状と一緒につけて発送をしますが、無償提供する場合、有償貨物(請求書)ではないことを示すため、INVOICE上にNO COMMERCIAL VALUEと記載します。

PACKING LISTとは貨物の梱包明細のことです。輸出貨物の個数、梱包重量、梱包サイズ、容積、どのカートンにどの貨物が入っているかを明記した書類です。重量に関してはGROSS WEIGHTとNET WEIGHTの両方記載されてる場合もあります。また、M3=CBM(容積)が大きい貨物だと、実重量ではなく、容積重量で運送料などは計算されることになります。

BL

B/LとはBill of Ladingの略です。原則としてB/Lなしでは貨物の引き取りができないので、貿易において非常に重要な書類となります。以前はB/Lも原本が到着してから貨物引き取りをしていたようですが、筆者が新入社員のころは殆Surrendered B/Lでの対応で、Original BLでの貨物引き取りはほんの数件のみ。昨今ペーパーレスがどんどん進んでいく中、BLに関してはまだまだ紙でのやりとりがメイン。e-BLの法整備なども進んでいるようですが、一般的に運用が開始するにはもう少し時間が必要そうですね。

決済方法

決済方法も各工場によって変わるのですが、LCかTTがメインでした。LCとはLetter of Creditのことで、日本語では「信用状」と呼びます。LCは銀行を介することで双方のリスクを取り除くことができます。(商品入手前に代金を支払う前払いの場合は輸入者に商品を入手できないリスクが発生し、代金回収前に商品を出荷する後払いでは、輸出者が代金を回収できないリスクを負うことになります。)LCは開設に時間がかかるため、契約書作成のあと、LCの開設依頼も必要です。また、LCには期限もあるため、年間SHIPが続く場合はどの契約までをどのTTを使うか、タイミングが重なるときは要注意でした。

その点、TTは船積が完了したら外為に送金依頼をするのみ、負担は軽かったです。簡単にまとめると、船積書類を入手し契約書通り出荷されているか貨物内容チェック。 問題なければ乙仲さんへ通関依頼、納品倉庫と納品日の調整、ドレーの手配、納品。原産地証明のコピーを先に入手して特恵も準備OK.納品後は入庫報告書を入手し入庫差異がないかチェック。 SHIPPERへ製品代を支払うため、送金依頼。

という流れでした。文字にしてしまえばすごくスムーズですよね。

通関の課題

トピック2:商社の貿易事務の現実と直面する課題

上記の通り、大まかにまとめると商社(輸入)の場合の貿易とは、書類を入手し通関依頼、納品先倉庫へ納品しSHIPPERへ支払いをする。

というものですが、一方現実は、契約書(C/S)をSHIPPERへ送ると、この単価と納期はサインバックできませんという回答。

とりあえず、工場が決定したという条件を確認するため、工場発行の契約書(S/C)を入手する。

すぐに内容確認してみることに。

すれ違う単価、あっていない納期、

アローアンスは3%なのに、なぜ5%にしているの、、、

唯一あっているのが数量と品名。

決済もL/Cじゃなくて、TTにしたい。。。

一体営業は何の情報を契約書内容として共有してきたのか、、、?

そして迫る船積み納期、、、

事務としては、なんとしても期日までに書類を揃えたい。今すぐに、通関依頼の申請をしなくては納品が間に合わない。

そのため、とにかく担当営業に確認をせかす。

いつもぎりぎりのタイミングで単価合意しやっと入手できる契約書のサインバック。

急いでかける通関依頼。

とりあえず納品先倉庫へコンテナNOと数量だけ連絡し納品日の確定。

まとめ:商社の貿易事務の仕事に必要なスキルと心得

納品日も決まり、落ちついてPACKING LISTの明細を確認すると、、、、、

あれ、、、

今回このSKUの納品じゃないよね、、、、

出荷する前に、おおまかな予定を聞いていたのになぜか大幅に変わる実数。

納品後、倉庫からくる入庫差異の報告書。 原産地証明の原本、週明けまでに提出必要!?

SHIPPERへ、いつ原本発送できるかすうぐに問い合わせる。

ところが、まさかの「 まだ商工会議所から入手できていないです。 」と一言。。。

いつ申請したの?

今のステータスはどうなっている?

一つ一つ確認していき予定では、今日の夕方入手できそうとのこと。

すぐにクーリエで発送してくれとPUSHし原本を発送してもらう。朝から追跡確認した原産地証明の原本がやっとメール室に到着!走って取りに行き、急いで通関業者さんへお届け。

お気に入りのキャラクターでそろえた文房具と共に落ち着いて業務をこなす理想の姿とは、かけ離れた汗だくの日々。

社内で走り回る姿。

なぜこんなにいつも問題が起きるのか、、、

少しでも共感できる方がいれば嬉しいです。

どのように問題を対処していったのか?

そのようなことを、次回以降の記事で、ご紹介させていただこうと思います。

レコメンド

このシリーズ「 商社で働く!アパレル貿易と通関の現場のリアル 」をお読み頂いた方には、「 貿易と通関の今昔~繊維商社アパレル貿易の舞台裏 」もオススメです。商社のお仕事を紹介していますので、併せてお楽しみください。