SERIES|その発注、何を基準に決めていますか? | 前編

中国から輸入したい商品が、ほぼ決まった。
仕入先の候補も絞り込み、商品価格やMOQ、納期などの条件も確認した。
「そろそろ発注しよう」
そんな段階まで進んだとき、もう一つ確認しておきたいことがあります。
その発注を決めるための情報は、本当に揃っているでしょうか。
もちろん、商品価格は重要です。
しかし、中国から日本へ商品を輸入する場合、発注数量が変われば貨物量も変わり、物流コストや在庫にも影響します。
梱包方法によっては、輸送中のリスクや日本到着後の作業が変わることもあります。
また、工場から提示された生産完了日は、そのまま日本での納品日になるわけではありません。
EXWやFOBなどの取引条件によっても、輸入者が負担する費用や役割の範囲は変わります。
つまり、
商品を決めるための情報と、発注を決めるための情報は、同じではありません。
商品と仕入先がほぼ決まった今だからこそ、正式発注する前に、もう少しだけ視野を広げてみる。
この記事では、中国輸入の発注前に確認したい「数量・梱包・納期・取引条件・物流」の5つの視点から、発注条件を判断するための考え方を整理します。
中国から商品を仕入れるとき、商品価格は重要な判断材料です。
複数の仕入先から見積りを取り、価格や品質、MOQ、納期などを比較する。条件が合えば、発注へ進む。
もちろん、この流れ自体に問題があるわけではありません。
ただし、商品と仕入先がほぼ決まったところで、視点を少し切り替えてみます。
「どの商品を買うか」という判断と、「どのような条件で発注するか」という判断は、分けて考えることができます。
商品の仕入価格は、輸入コストを構成する大きな要素です。
しかし、日本まで輸入して販売することを考えると、それだけではありません。
発注数量、梱包方法、貨物量、取引条件、国際輸送費、日本国内の配送費など、さまざまな条件が関係します。
たとえば、発注数量を増やして商品単価が下がったとしても、貨物量が増えれば物流条件も変わります。
梱包方法が変われば、貨物の容積や輸送効率が変わることもあります。
EXWやFOBなどの取引条件が違えば、仕入先の提示価格に含まれる費用や役割の範囲も同じではありません。
つまり、商品単価が下がったからといって、輸入全体のコストも同じように下がるとは限りません。
ここで一度、
その商品を、その条件で日本まで輸入すると、どうなるのか。
というところまで視野を広げてみます。
商品や仕入先がほぼ決まったら、次に考えたいのが「どんな条件で発注するか」です。
これらは、それぞれ独立した条件ではありません。
数量が変われば貨物量が変わり、貨物量が変われば物流費や輸送方法にも影響します。
梱包を変更すれば、容積だけでなく輸送時のリスクにも影響します。
納期を早めれば、選択できる輸送方法が変わることもあります。
一つの条件を変えると、別の条件も動く。
だからこそ、商品を選ぶ段階から正式発注へ進むときには、
「いくらで買えるか」だけでなく、「どんな条件で買うか」まで考える。 この視点が重要になります。

では、発注前に何を確認すればよいのでしょうか。
ここでは「数量・梱包・納期・取引条件・物流」の5つに分けて考えてみます。
重要なのは、確認項目を増やすことではありません。
5つの条件をそれぞれ単独で見るのではなく、つなげて考えることです。
| 確認ポイント | 発注前に確認したいこと | 判断につながる視点 |
| ① 数量 | 何個発注するか | 商品単価だけでなく、貨物量・物流費・在庫まで見る |
| ② 梱包 | どの状態で輸送するか | 「運べる」だけでなく、保管・販売まで考える |
| ③ 納期 | いつ必要か | 生産完了日だけでなく、日本での納品日から考える |
| ④ 取引条件 | EXW・FOBなど | 価格だけでなく、費用・役割・リスクの範囲を見る |
| ⑤ 物流 | どう日本まで運ぶか | 貨物量・輸送方法・輸送日数・輸入港・国内配送を確認する |
流れで整理すると、
商品・仕入先がほぼ決定
↓
数量・梱包・納期・取引条件・物流を確認
↓
条件をつなげて比較する
↓
発注条件を判断
↓
正式発注
となります。
それでは、それぞれのポイントを具体的に見ていきます。
中国の仕入先と価格交渉をしていると、
「500個ならこの価格」
「1,000個なら、さらに単価を下げられる」
といった提案を受けることがあります。
数量を増やすことで商品単価が下がるのであれば、1,000個を発注した方が有利に見えます。
しかし、輸入ではその先も考えます。
発注数量が増えれば、貨物量も増えます。
貨物量が変われば国際輸送費が変わるだけでなく、LCL(混載輸送)とFCL(コンテナ単位の輸送)のどちらを利用するのかという判断にも影響する可能性があります。
さらに、日本到着後の在庫量、保管スペース、販売に必要な期間も変わります。
つまり、
商品単価 × 貨物量 × 物流費 × 在庫
までつなげて考えることが大切です。
「たくさん買えば安くなる」だけではなく、
その数量を輸入し、在庫し、販売するところまで考えたときにどうなるのか。
発注数量を決めるための判断材料は、商品単価だけではありません。
見落とされやすいのが、商品の梱包です。
中国工場から「カートン梱包で出荷します」と言われれば、その状態で輸送できるケースは多くあります。
しかし、
「運べる梱包」と「販売まで考えた梱包」は、必ずしも同じではありません。
たとえば、ECで販売する生活雑貨をカートンのまま輸送するとします。
商品そのものに問題がなくても、輸送中に外装カートンが大きく損傷すれば、日本到着後に検品や箱の交換、再梱包などが必要になることがあります。
商品や梱包の特性によっては、発注前にパレット積みや梱包補強を仕入先へ相談するという考え方もあります。
一方で、パレットを使用すれば容積や重量が増え、物流費に影響する場合があります。
すべての商品をパレット輸送すればよいわけではありません。
だからこそ、工場の標準梱包をそのまま受け入れる前に、
その商品を日本へ運び、保管し、販売するところまで考えた梱包になっているか。
一度確認しておきたいポイントです。
あるEC販売用の生活雑貨では、当初、中国工場からカートンのまま出荷する予定でした。
しかし、輸送中に外装カートンが損傷すると、商品そのものに問題がなくても、日本到着後に検品や再梱包などの作業が必要になる可能性があります。
そこで発注前に梱包条件を確認し、輸入者が仕入先とパレット積みについて調整しました。
もちろん、パレット積みが常に正解というわけではありません。
パレットを使用すれば貨物の容積や重量が増え、物流費が上がる場合もあります。
重要なのは、
発注前であれば、「どのような梱包で輸入するか」も比較・検討できるということです。
物流費だけを見るのではなく、日本到着後に必要となる作業まで考える。
これも発注条件を判断する一つの視点です。
仕入先から「45日で生産できます」と回答があったとします。
ここで確認したいのは、生産完了日=日本への納品日ではないということです。
実際には、
生産完了 → 出荷準備 → 船積み → 海上輸送 → 輸入通関 → 国内配送 → 納品
という流れがあります。
また、船のスケジュールによっては、生産完了直後の船に必ず積めるとは限りません。
そのため、「何日で生産できるか」だけではなく、いつ日本で商品を受け取れるのかまで考える必要があります。
特に販売開始日や店舗への納品日が決まっている商品では、この違いが重要になります。
納期を一つの日付だけで見るのではなく、
生産から日本での納品までを、一つの流れとして見る。
これも発注前に確認しておきたいポイントです。
仕入先からEXW価格とFOB価格の両方を提示されることがあります。
ここでも、提示された金額だけではなく、その条件にどこまでの費用や役割が含まれているのかを確認します。
EXWでは、原則として買主側が工場からの引き取り以降を広く手配することになります。
一方、FOBでは、売主側が輸出通関を行い、指定された船積港で本船に積み込むまでを担います。
したがって、
「EXWの提示価格の方が安い」
という理由だけで、有利とは判断できません。
中国国内の集荷費用や輸出関連費用なども含めて比較する必要があります。
Incotermsは単なる価格表示ではなく、売主と買主の費用・役割・リスクの分担を整理するための条件です。
「いくらで買うか」と同時に、
「どの条件で買うか」
も発注前に確認しておきましょう。
最後は物流条件です。
発注前の段階でも、物流について確認できる情報はあります。
たとえば、
・予定数量では、貨物量がどのくらいになるのか
・LCLとFCLでは、どのような違いがあるのか
・いつ出荷すると、いつ頃日本へ到着するのか
・どの港から輸入し、どこへ納品するのか
・必要に応じて、商品を分けて輸送する方法はあるのか
こうした情報が分かれば、数量、梱包、納期、取引条件を考える際の材料になります。
ここで重要なのは、物流情報も、発注前に確認できる情報の一つであるということです。
発注してから「どう運ぶか」を考えるだけではなく、発注前に物流情報を確認しておく。
では、それによって何が変わるのでしょうか。

商品を仕入れる以上、少しでも安く買いたい。
物流費もできるだけ抑えたい。
これは当然のことです。
しかし、中国輸入では、商品価格や物流費を一つずつ安くすることと、輸入全体のコストを抑えることは、必ずしも同じではありません。
ここで一度、「見えるコスト」と「見えにくいコスト」に分けて考えてみます。
商品を輸入するとき、比較しやすいのは数字として見えるコストです。
・商品原価
・国際物流費
・輸入時に発生する費用
・日本国内の配送費
こうした費用は見積書や請求書に表れるため、比較しやすいコストです。
一方、輸入では、その条件を選んだ結果として発生する「見えにくいコスト」もあります。
・検品
・再梱包
・保管
・配送の再手配
・社内での確認や調整に使う時間
・販売開始が遅れることによる影響
先ほどの梱包の例も、その一つです。
輸送費だけを見れば安くても、日本到着後に検品や再梱包が必要になれば、別の費用と作業が発生します。
また、商品単価を下げるために発注数量を増やしても、在庫量が増えれば保管スペースや在庫期間にも影響します。
つまり、
商品原価 + 物流費 + その後に発生する作業やコスト
まで視野を広げてみる。
大切なのは、「どの方法が一番安いか」だけではありません。
その条件を選んだ結果、最終的に何が発生するのか。
ここまで考えることで、発注条件の見え方が変わってきます。
もう一つ考えておきたいのが、時間です。
たとえば、物流費を抑えられる輸送方法を選んだとしても、日本への到着が遅くなり、予定していた販売開始に間に合わなければ、物流費だけでは測れない影響が生じます。
反対に、すべての商品を急いで輸送する必要もありません。
販売開始まで余裕がある商品であれば、時間を確保することで、よりコストを抑えた輸送方法を選べる場合があります。
大切なのは、
「安いか、速いか」の二択で考えないことです。
こうした条件によって、選択できる方法は変わります。
そして、ここでいう「時間」は輸送日数だけではありません。
輸入後の検品や再梱包、倉庫での作業、販売開始までに必要な時間も含まれます。
商品原価、物流費、そして、その後に発生する作業と時間。
発注前にこれらを一つの流れとして見ることで、「一番安く買う」だけでは見えなかったコストも見えてきます。

ここまで見てきた数量、梱包、納期、取引条件。
これらを決めるときに物流情報を一緒に確認すると、発注条件を考えるための材料が増えます。
物流情報は、発注した商品を運ぶためだけに使うものではありません。
発注前に「どのような条件で買うか」を考えるためにも使えます。
商品を発注した後に物流条件を確認する場合、
商品決定 → 発注 → 物流条件を確認 → 輸送手配
という流れになります。
一方、商品と仕入先がほぼ決まった段階で物流情報も確認すれば、
商品候補 → 仕入条件を確認 → 物流情報も確認 → 発注条件を判断 → 正式発注
という考え方もできます。
この違いは、物流会社へ相談する時期を単に早めることではありません。
重要なのは、
物流情報を、何の判断に使うのか。
ということです。
発注後であれば、「発注した商品をどう運ぶか」を考えるための情報になります。
発注前であれば、同じ物流情報を「どのような条件で発注するか」を考える材料にもできます。
つまり、物流を「輸送手配のための情報」から「事業判断に使える情報」へ。
物流情報の使い方を、少し広げることができます。
では、物流会社に発注数量や輸送方法まで決めてもらえばよいのでしょうか。
そうではありません。
こうしたことを最もよく理解しているのは、商品を仕入れ、販売する輸入者自身です。
一方、物流会社には、貨物量、輸送方法、輸送日数、輸入港、国内配送、梱包など、物流の視点から提供できる情報があります。
DIGISHIPでは、物流の専門知識や、さまざまな商品の輸入・物流に関わってきた経験をもとに、発注前の段階でも判断に必要な物流情報を整理します。
その情報を、自社の商品、販売、在庫、納期などの情報と組み合わせて、最終的な発注条件を決めるのは輸入者です。
物流会社が事業判断を代行するのではなく、輸入者が判断するための情報を揃える。
これが、DIGISHIPが考える発注前の物流サポートです。
商品が決まり、仕入先から見積りも届いた。
価格やMOQ、納期にも大きな問題はない。
いよいよ発注という段階になったら、最後にもう一度、次の5つを確認してみてください。
商品単価だけでなく、貨物量・物流費・在庫まで考えて、発注数量を決めているか。
工場から提示された梱包は、輸送できるだけでなく、日本での保管や販売まで考えたものになっているか。
生産完了日だけでなく、出荷・国際輸送・輸入通関・国内配送を経て、実際に必要な日までに商品が届くか。
EXWやFOBなどの条件について、価格だけでなく、売主と買主それぞれの費用・役割・リスクの範囲を確認しているか。
貨物量、輸送方法、輸送日数、輸入港、国内配送など、発注を判断するために必要な物流情報が揃っているか。
すべての項目で、最も安い条件を選ぶ必要はありません。
また、確認項目を増やして、発注判断を難しくすることが目的でもありません。
大切なのは、自社にとって何を確認する必要があり、何を基準に判断するのかを持つことです。
商品価格を重視する会社もあれば、販売開始日を優先する会社もあります。
在庫をできるだけ持たない会社もあれば、一定量を確保することで安定した販売を優先する会社もあります。
同じ商品を輸入するとしても、会社によって判断は変わります。
だからこそ、
商品を決めるための情報と、発注を決めるための情報は、同じではありません。
商品と仕入先がほぼ決まったら、数量・梱包・納期・取引条件・物流をつなげて考える。
そして、物流情報も判断材料の一つとして、自社に合った発注条件を決める。
その発注、何を基準に決めていますか?
数量、梱包、納期、取引条件、物流の5つを確認します。
重要なのは、それぞれを別々に見るのではなく、商品単価・物流費・在庫・販売時期などへの影響をつなげて考えることです。
必ずしもそうとは限りません。
数量が増えると商品単価が下がる一方、貨物量、物流費、在庫量、保管期間なども変わります。
商品単価だけでなく、輸入して販売するところまで含めて判断することが大切です。
商品や梱包によって異なります。輸送できる梱包でも、日本到着後の保管や販売に適しているとは限りません。
商品の特性や輸送条件に応じて、発注前にパレット積みや梱包補強などを検討します。
発注した商品を運ぶ方法を決めるためだけではありません。
貨物量、輸送方法、輸送日数、梱包、国内配送などの物流情報を確認することで、数量・納期・取引条件などを決めるための判断材料として活用できます。
中国輸入を何年も続けていれば、自社なりの発注方法や物流の判断基準ができてきます。
一方で、自社では当たり前になっている方法が、別の会社ではまったく違うこともあります。
同じ輸入でも、会社が変われば「当たり前」が変わる。
後編では、自社で積み重ねてきた輸入経験に「他社・他案件の視点」を加えることで、何が見えてくるのかを考えます。
▶ 後編:中国輸入の方法を見直す|他社の事例から考える発注・物流条件
発注後は、出荷準備・国際輸送・輸入通関・国内配送へと進みます。
輸入は物流だけでなく、商流・金流・物流が連動しています。
商品や仕入先が決まっていても、数量・梱包・納期・取引条件によって、適した物流条件は変わります。
発注前の段階でも、中国輸入の物流についてご相談いただけます。