SERIES|その発注、何を基準に決めていますか? | 後編

中国輸入を何年も続けている。
仕入先も決まっている。
発注方法も、物流ルートも、社内での進め方もできている。
大きな問題も起きていない。
それでも、ときどき他社の輸入方法を知ると、
「そんな方法もあるのか」
と気づくことがあります。
中国輸入の経験を積むほど、自社なりの判断基準ができてきます。
こうした判断基準は、何度も輸入を経験する中で蓄積されてきたものです。
そして、その経験は大切な資産です。
一方で、自社の輸入を長く続けているからこそ、他社がどのように輸入しているのかを知る機会は、意外と少ないかもしれません。
同じ輸入でも、会社が変われば「当たり前」が変わる。 この記事では、自社で積み重ねてきた中国輸入の経験に「他社・他案件の視点」を加えることで、発注や物流条件を別の角度から考えてみます。
中国輸入を何年も続けている会社には、自社なりの判断基準があります。
それは、マニュアルだけで身につくものではありません。
実際に商品を発注し、中国から輸入し、日本で受け取る。
その過程で、予定どおり進んだこともあれば、思わぬ問題が発生したこともあるでしょう。
そうした経験を積み重ねることで、
過去の経験 → 予測 → 判断 → 対応
という流れができていきます。
たとえば、
といった判断です。
一つひとつは小さな判断に見えるかもしれません。
しかし、こうした経験があるからこそ、毎回ゼロから考えなくても、ある程度先を予測しながら輸入を進めることができます。
経験は、中国輸入を安定して進めるための大切な資産です。
だから、長年続けてきた方法を、理由もなく変える必要はありません。
ただし、ここでもう一つ考えてみたいことがあります。
その「当たり前」は、他の会社でも同じなのでしょうか。
同じ中国からの輸入でも、会社によって発注方法や物流条件は異なります。
ある会社では当たり前の方法が、別の会社ではまったく使われていないこともあります。
なぜでしょうか。
理由はシンプルです。
会社によって、商品も、販売方法も、在庫方針も、納期も、社内体制も違うからです。
たとえば、同じような商品を中国から輸入する2社があったとします。
A社は、ある程度まとまった在庫を確保して、安定して販売したい。
B社は、在庫をできるだけ抑え、販売状況を見ながら追加発注したい。
そうすると、発注数量の考え方は変わります。
A社は、ある程度数量をまとめて輸入するかもしれません。
一方、B社は小ロットで輸入する回数を増やすかもしれません。
物流も同じです。
どちらが正しい、という話ではありません。
販売方法、在庫方針、商品特性、納期などが違えば、合理的な輸入条件も変わります。
だから、
同じ輸入でも、会社が変われば「当たり前」が変わる。
のです。
長年輸入を続けていると、
「この商品は、いつもこの方法で輸入している」
というものが増えてきます。
それ自体は問題ではありません。
むしろ、何度も同じ方法で輸入し、大きな問題なく続けられているのであれば、その方法には理由があります。
一方で、その方法を決めたときと現在では、条件が変わっていることもあります。
発注・物流条件を決めたときから、前提条件が変わっていませんか?
□ 輸入数量が増えた・減った
□ 輸入する頻度が変わった
□ 販売チャネルが変わった
□ 納品先が変わった
□ 倉庫や物流センターが変わった
□ 中国側の仕入先・工場が変わった
□ 商品や梱包条件が変わった
□ 求められる納期が変わった
□ 物流環境や輸送条件が変わった
一つでも変わっていれば、以前と同じ方法が現在も合理的なのか、一度確認してみる余地があります。
ただし、目的はこれまでの方法を否定することではありません。
「変えるために見直す」のではなく、「今の条件でも、この方法が合っているかを確認する」。
このくらいの距離感で考えてみます。
輸入方法を見直すときは、輸送方法だけでなく、フォワーダーとの役割分担も比較材料になります。
中国輸入フォワーダーを選ぶときの具体的な視点は、こちらの記事で整理しています。
▶ 中国輸入フォワーダーの探し方・選び方|自社に合う会社とは?

中国輸入を長く続けている会社には、自社の商品について深い経験があります。
これは非常に大きな強みです。
一方、さまざまな輸入案件に関わる物流会社には、少し違った種類の経験があります。
商社が実際に複数のフォワーダーを使い分けてきた経験については、こちらの記事でも紹介しています。
▶ 商社とフォワーダーの関係|商社マンが語る貿易・物流の実体験
こうしたことを最もよく理解しているのは、商品を仕入れ、販売している輸入者自身です。
同じ商品を何年も輸入していれば、その商品について物流会社より詳しいことも珍しくありません。
だから、物流会社が輸入者に代わって事業判断をするものではありません。
輸入者が持つ商品や市場についての深い経験は、その会社にしか持てないものです。
自社の商品を何年も輸入していても、他社がどのような方法で輸入しているのかを見る機会は、それほど多くありません。
たとえば、自社で何十回、何百回と輸入を経験していたとします。
それは決して少ない経験ではありません。
ただし、その多くは、「自社の経験」です。
他社が、
こうした情報に触れる機会は、必ずしも多くありません。
一方、さまざまな輸入案件に関わる物流会社では、複数の輸入者、商品、仕入先、輸送条件を見る機会があります。
そのため、一つの商品について輸入者ほど深い知識を持っていなくても、
「別の会社では、こういう方法を使っている」
「別の商品では、こういう考え方をしている」
という横断的な経験を持つことがあります。
ここに、輸入者と物流会社の経験の違いがあります。
経験が深いことと、比較できる経験が広いことは別。
どちらが優れているという話ではありません。
二つの経験は、役割が違うのです。
| 視点 | 輸入者 | 物流会社 |
| 経験の特徴 | 自社について「深い」 | 複数案件を「横に広く」見る |
| 商品 | 自社商品の特性を深く理解 | さまざまな商品の物流に関わる |
| 販売・在庫 | 販売計画や在庫方針を把握 | 会社ごとの異なる物流条件を見る |
| 仕入先 | 自社の取引先との経験を蓄積 | 複数の仕入先・出荷条件に関わる |
| 物流 | 自社で採用してきた方法を熟知 | 複数の輸送方法・梱包・ルートを見る |
| 強み | 自社の経験から次を予測できる | 他社・他案件と比較する視点を持てる |
| 役割 | 自社に合う条件を判断する | 判断に必要な物流情報や比較材料を提供する |
輸入者の「深い経験」と、物流会社が持つ「横に広い経験」。この二つを組み合わせるこ
とで、自社だけでは得にくい比較材料を、次の判断に使えるようになります。

では、他社の輸入方法を知ることで、何が変わるのでしょうか。
他社と同じ方法へ変更する必要はありません。
むしろ重要なのは、自社では当たり前になっている条件を、もう一度考えるきっかけができることです。
「この商品は、いつも1,000個発注している」
では、なぜ1,000個なのでしょうか。
理由はいくつも考えられます。
他社では、販売状況を見ながら小ロットで追加することもあれば、一定数量をまとめて輸入することもあります。
重要なのは、他社と同じ数量にすることではありません。
他社との違いを知ることで、「自社はなぜこの数量なのか」を確認できる。
他社の発注数量が答えなのではなく、自社の判断基準を確認する材料になるのです。
前編で紹介したパレット積みの事例のように、梱包も同じです。
「中国工場の標準梱包で、いつも輸入している」
それで問題なく輸入できているのであれば、その方法には合理性があります。
一方、商品や販売方法によっては、カートン輸送、パレット積み、梱包補強など、異なる方法が使われています。
ここでも大切なのは、
「他社がパレットだから、自社もパレットにする」
ということではありません。
なぜ、その会社はその梱包を選んでいるのか。
そこを見ることです。
前編では、発注前に確認したい「数量・梱包・納期・取引条件・物流」の5つの視点を整理しています。
▶ 中国輸入の発注前に確認したいこと|商品・価格だけで決めて大丈夫?
物流方法にも、自社の「当たり前」があります。
現在の条件に合っているのであれば、変更する必要はありません。
ただし、貨物量や輸入頻度、納期などが変われば、比較できる物流条件も変わります。
こうした方法も考えられます。
ここでも目的は、選択肢を増やすことではありません。
他社の方法を知ることで、自社が現在の方法を選んでいる理由を確認する。
それが重要です。
他社の輸入方法を知ると、
「それなら、自社でも同じ方法を使えばよいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、他社でうまくいった方法が、そのまま自社でも適しているとは限りません。
会社が違えば、前提条件も違います。
したがって、
他社事例は「答え」ではなく、「比較するための材料」です。
そこで、他社の事例を見るときは、
他社はこうしている
↓
なぜ、その方法を選んでいるのか
↓
自社ではどうか
という順番で考えてみます。
たとえば、他社がパレット輸送をしているとします。
重要なのは「パレット輸送をしている」という事実だけではありません。
理由を知ることで、初めて自社と比較できます。
他社事例を見る価値は、方法そのものより、
「なぜ、その方法を選んでいるのか」を知ることにあります。
ここまでの話を整理すると、中国輸入の経験には二つの方向があります。
一つは、自社で積み重ねる深い経験です。
もう一つは、他社・他案件から得られる横断的な視点です。
輸入者は、自社の商品、顧客、販売、在庫、仕入先について深く理解しています。
一方、物流会社は複数の商品、会社、輸送方法、梱包、輸入ルートなどに関わることで、横に広い経験を持つことがあります。
DIGISHIPが提供したいのは、輸入者の経験に代わる「答え」ではありません。
この組み合わせです。
たとえば、
「いつもLCLだからLCL」
ではなく、
「この貨物量と輸入頻度だから、今回もLCL」
と判断する。
「いつもこの梱包だから」
ではなく、
「商品の特性と販売方法を考えると、この梱包が合っている」
と判断する。
結果として同じ方法を選んだとしても、判断の意味は違います。
慣習として続けることと、比較したうえで同じ方法を選ぶことは、同じではありません。
DIGISHIPが提供したいのは、単に「この方法で運べます」という回答だけではありません。
こうした情報も整理し、輸入者自身が判断するための材料として提供します。
最終的に、自社の商品や販売、在庫、納期などを踏まえて判断するのは輸入者です。
前編でお伝えした、
物流会社が事業判断を代行するのではなく、輸入者が判断するための情報を揃える。
という考え方は、輸入経験が長い会社でも変わりません。

中国輸入で積み重ねた経験は、次の判断に使うことで、さらに価値を持ちます。
以前、この時期に船が混んだ。
だから、次回は少し早くスケジュールを確認する。
以前、この梱包で外装が傷んだ。
だから、次回は出荷前に梱包条件を確認する。
以前、この数量で物流費が大きく変わった。
だから、次回は発注前に貨物量を確認する。
このように、
過去の経験 → 次に起こることを予測 → 確認 → 判断 → 対応
へつなげていきます。
そして、そこに他社・他案件の視点が加わると、
「自社では経験していないけれど、こういうことも起こるのか」
「別の会社では、こんな方法で対応しているのか」
という情報も、次の判断材料にできます。
経験とは、過去を知っていることだけではありません。
次に起こることを予測し、対応するために使うものでもあります。
中国輸入を長く続けているからこそ、ときどき自社の方法を別の角度から見てみる。
変更する必要がなければ、今までの方法を続ければよい。
一方で、より自社に合った方法が見つかれば、そのときに検討すればよい。
大切なのは、
「いつもこうしているから」ではなく、「今も、この方法を選ぶ理由がある」と判断できること。
そのために、自社の経験だけでなく、他社・他案件の視点も判断材料の一つとして使ってみる。
同じ輸入でも、会社が変われば「当たり前」が変わる。
だから、ときどき、
自社の輸入を、他社の視点から見てみる。
輸入では、一つの条件変更が物流だけでなく、納期・支払い・生産など別の工程へ影響することがあります。
商流・金流・物流をつなげて考える方法については、こちらの記事で詳しく整理しています。
はい。自社で長く輸入を続けていても、その経験の多くは「自社の経験」です。
他社では、発注数量、梱包、LCL・FCLの使い分け、輸入港、国内配送などについて、異なる考え方をしていることがあります。
大切なのは、他社の方法をそのまま取り入れることではありません。
他社との違いを知ることで、「なぜ自社はこの方法なのか」を改めて確認できます。
自社で積み重ねた深い経験に、他社・他案件という横断的な視点を加えることが、次の判断材料になります。
必ずしも、同じ方法が自社にも適しているとは限りません。
商品、発注数量、販売方法、納期、倉庫、仕入条件などが違えば、適した輸入方法も変わります。
他社事例を見るときは、
他社はこうしている
↓
なぜ、その方法を選んでいるのか
↓
自社ではどうか
という順番で考えます。
他社事例は「答え」ではなく、自社と比較するための材料です。
Q3. 中国輸入の方法は、どのようなときに見直せばよいですか?
輸入数量、販売チャネル、納品先、倉庫、仕入先、納期など、これまでの前提条件が変わったときは、一度確認してみる価値があります。
ただし、見直すことは、必ずしも輸入方法を変更することではありません。
現在の条件と比較した結果、今までの方法が自社に合っていると確認できれば、その方法を続けることも一つの判断です。
「変えるために見直す」のではなく、「今も、この方法を選ぶ理由があるか」を確認することが大切です。
輸入者は、自社の商品、顧客、販売、在庫、仕入先について深い経験を持っています。
一方、さまざまな輸入案件に関わる物流会社では、複数の商品や会社、輸送方法、梱包、輸入ルートを見る機会があります。
そのため、
といった情報を得られることがあります。
物流会社に事業判断を任せるのではなく、自社の経験に他社・他案件から得られる物流情報を加え、自社で判断するために活用するという考え方です。
発注後は、出荷準備・国際輸送・輸入通関・国内配送へと進みます。
商品や仕入先が決まっていても、数量・梱包・納期・取引条件によって、適した物流条件は変わります。
発注前の段階でも、中国輸入の物流についてご相談いただけます。